停電の備えとしての発電機の重要性
台風や地震による停電は、数日続くこともあります。企業のBCP対策にも家庭の防災にも役立つのが発電機です。停電への備えとして発電機を選ぶときのポイントを、施設の規模ごとに解説します。
停電対策としての発電機のメリット
停電対策として発電機を備える最大のメリットは、燃料を補給すれば長時間の停電にも対応できることです。蓄電池は容量に限りがありますが、発電機なら停電が数日続く大規模災害でも電気をつくり続けられます。
企業では、停電によって生産ラインやサーバー、通信手段が止まり、事業を続けられなくなるおそれがあります。発電機があれば、サーバーや冷蔵設備など止められない設備に電気を絞って送り、被害を最小限に抑えられます。家庭でも、照明やスマートフォンの充電、冷蔵庫などを使い続けられるため、停電中の暮らしの不安を減らせます。
停電対策に役立つ発電機の選び方
発電機選びで失敗しないためには、出力の大きさから考えるのではなく、「停電中に何を動かしたいか」から逆算することが大切です。次の3つのステップで検討しましょう。
非常時に「何を動かすか」をリストアップしておく
最初から業務全体の電気をまかなおうとすると、大型の設備が必要になり、導入コストが大きくふくらみます。
まずは防災・減災対策の第一歩として、従業員の避難が終わるまでの対応や、社内で一晩過ごすことになった場合に必要な、最低限の電気から考えるのが現実的です。災害時にオフィスで必要になる主な機器は、次のとおりです。
- 室内照明:デスクライトがあれば最低限の作業はできます。投光器を1台用意すれば広い範囲を照らせるため、日没後の作業にも役立ちます。人の出入りが多いトイレや非常用物資の保管場所にも照明が必要です。
- 通信機器:固定電話、パソコン、Wi-Fiルーターなどです。安否確認システムでの情報収集や、離れた場所にいる従業員への指示に欠かせないため、最優先で確保しましょう。
- スマートフォンの充電:バッテリーが切れると安否確認システムが機能しません。帰宅できなくなった従業員が家族と連絡を取る手段としても必要なため、充電スペースを設けておきましょう。
- その他:エアコンが止まるとオフィスはすぐに過ごしにくい環境になります。夏場はスタンド式の扇風機で室内の空気を循環させるなど、熱中症対策も考えておきましょう。
家庭の場合も考え方は同じです。照明、スマートフォンの充電、冷蔵庫など、停電中に「これだけは使いたい」機器を書き出しておくと、必要な発電機の大きさを判断しやすくなります。
起動電力と消費電力の違いに注意する
動かしたい機器を書き出したら、その消費電力を合計します。このとき見落としやすいのが「起動電力」です。電気機器には通常運転時の消費電力のほかに、電源を入れた瞬間に一時的に増える起動電力があります。
エアコン、冷蔵庫、電子レンジなどモーターを積んだ機器は、消費電力の1.5〜4倍程度の起動電力が必要なものがあります。一方、パソコン、スマートフォン、プリンターなどオフィスで使う電子機器は、消費電力と起動電力がほぼ同じです。
たとえば一般的な扇風機は消費電力の約2倍、冷蔵庫は約4倍の起動電力が必要です。消費電力250Wの家庭用冷蔵庫でも起動時には約1,000Wが必要になるため、定格出力1,000VA以上の発電機を選ぶ必要があります。
発電機が出せる電力の上限は「定格出力」で表され、単位は「VA」です。目安として1W=1VA、1,000VA=1kVAと考えます。
必要な出力は、次の手順で確認しましょう。
- 動かしたい機器の消費電力と起動電力を、本体のラベルや取扱説明書で調べる
- 同時に使う機器の電力を合計する(モーターを積んだ機器は起動電力で計算する)
- 合計が発電機の定格出力を超えないか確認し、余裕を持たせた機種を選ぶ
延長コードが長いと電圧が下がることもあるため、計算値ぎりぎりではなく余裕のある出力を選ぶのが安全です。
参照元:中小企業基盤整備機構 BCPはじめの一歩(https://kyoujinnka.smrj.go.jp/knowhow/17.html)
参照元:Honda公式サイト 店舗の防災用発電機の選び方(https://www.honda.co.jp/generator/bosai/stockpile/shop.html)
用途や保管環境に合わせた燃料選び
防災用の発電機は、燃料をどう備蓄し、災害時にどう手に入れるかまで考えて選ぶ必要があります。主な燃料の特徴は次のとおりです。
| 燃料 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| ガソリン | 小型から高出力まで機種が豊富 | 長く備蓄しにくい。キャブレター内の燃料抜きが必要(FI搭載機は不要)。災害直後は手に入りにくい |
| カセットガス | 手に入りやすく、保管しやすい。カセットコンロなどと燃料を使い回せる | 連続運転時間が短く、出力が小さい |
| LPガス | 連続運転時間が長い。普段から使っている施設なら防災専用の備蓄が不要 | ボンベの設置場所に縛られ、持ち運べない。専用ガスコードの設置工事が必要な機種がある |
ガソリンを燃料とする発電機は、倉庫などに長く置いたままにする場合、キャブレター内の燃料を正しく抜いておかないと、残った燃料が劣化してエンジンがかからなくなることがあります。
災害直後はガソリンが手に入りにくくなるおそれもあり、こうした事情から、保管しやすく比較的入手しやすいカセットボンベ式の発電機を防災用に選ぶケースも目立っています。
カセットボンベは最長で7年間保管できるため、備蓄や補充の手間を最小限に抑えられます。ガソリン式でも、FI(フューエル・インジェクション)を搭載した機種なら保管前の燃料抜きが不要で、長期保管に向いています。
企業が燃料を備蓄する場合は、消防法の規制にも注意が必要です。ガソリン、灯油、軽油、重油は第4類危険物にあたり、指定数量はガソリン200L、軽油・灯油が各1,000L、重油2,000Lです。指定数量未満でも、その5分の1以上を貯蔵・取り扱う場合は届出が必要になります。十分な量を備蓄できない場合は、給油事業者と燃料の優先供給契約を結んでおくのも一つの方法です。
参照元:中小企業基盤整備機構 BCPはじめの一歩(https://kyoujinnka.smrj.go.jp/knowhow/17.html)
参照元:Honda公式サイト 店舗の防災用発電機の選び方(https://www.honda.co.jp/generator/bosai/stockpile/shop.html)
参照元:リスク対策.com(https://www.risktaisaku.com/articles/-/189)
施設の規模ごとの発電機の選び方
必要な発電機の出力は、施設の規模や用途によって大きく変わります。ここでは代表的な5つのケースごとに、選び方の目安を紹介します。
小規模オフィス
スタッフ10人程度のオフィスで、情報収集、取引先との連絡、決済作業など、業務に最低限必要なパソコン5台とテレビ1台を3日間使えるようにする場合を考えてみます。ノートパソコン1台を約50W、テレビを約100Wとすると、合計は50W×5台+100W=350Wです。
この合計が発電機の定格出力より小さいことが大前提です。そのうえで、モーター機器の起動電力や延長コードによる電圧低下も考えて、出力に余裕を持たせることが大切です。半日から1日以上の停電に備えるなら、出力3kVA程度の発電機を用意しておくのも一つの方法です。あわせて、燃料タンクの容量と連続運転時間も確認しましょう。
このクラスの携帯式発電機はホームセンターでも販売されています。ただし、エンジン式の発電機は燃料の種類にかかわらず排気ガスに一酸化炭素が含まれるため、屋外での使用が条件になる点に注意しましょう。
参照元:リスク対策.com(https://www.risktaisaku.com/articles/-/189)
個人商店
非常時には、食料品店や日用品店が地域のライフラインになります。客が殺到する中で手計算だけで対応するのは限界がありますが、発電機があればレジや照明を使って臨時営業できます。パソコンやFAXを使った発注業務も続けられます。
レジ、照明、FAXなど営業に最低限必要な機器を動かすなら、900W程度までの小型発電機が目安です。たとえば投光器2台(各100W)、レジ1台(25W)、FAX1台(150W)なら、合計は375Wに収まります。
飲食店で冷蔵庫・冷凍庫の食材を守りたい場合は、起動電力を考えて1,500W程度に対応できる発電機を選びましょう。消費電力250Wの冷蔵庫でも、起動時には約1,000Wが必要になるためです。
参照元:Honda公式サイト 店舗の防災用発電機の選び方(https://www.honda.co.jp/generator/bosai/stockpile/shop.html)
作業所・小規模工場
作業所や小規模工場では、当然ながら事務所より大きな電力が必要です。選ぶときのポイントは、事業を続けるうえで最低限動かさなければならない設備を洗い出し、その電力を合計し、何時間動かす必要があるかを算出することです。
長時間運転できる体制が整わなくても、突然の停電時に機械を安全に止めるための最低限の電力を確保する、という考え方で発電機を備えるのも有効です。
工場では、ポンプやコンプレッサーなどのモーター機器に三相200Vが必要な場合があります。使う機器の電圧・周波数と発電機の仕様が合っているか、事前に確認しましょう。また、出力10kW以上の発電機は電気事業法上「発電所」として扱われ、主任技術者の選任や保安規程の届出が必要です。導入前に社内の体制も確認しておきましょう。
参照元:リスク対策.com(https://www.risktaisaku.com/articles/-/189)
参照元:Blue talk(株式会社レント)(https://www.rent.co.jp/media/generator/commercial-generator/)
大型施設・病院など
工場や大型施設、病院などの非常用電源には、13〜60kVAクラスの業務用発電機が使われることがあります。比較的コンパクトながら大容量の電気を供給でき、限られたスペースにも設置しやすいのが特徴です。騒音に配慮した防音型もあります。複数の大型機械を同時に動かすなど、さらに大きな電力が必要な場合は、100〜500kVAクラスが選択肢になります。
注意したいのは、建物に設置されている発電機が何のためのものかです。消防法や建築基準法にもとづく防災用の自家発電設備は、消火栓や非常用照明などの防災設備を一定時間動かすためのものです。
業務用のパソコンやサーバーを動かすには、別に一般非常用の発電機を用意する必要があります。自社が入っている建物の発電機の種類と出力を把握したうえで、追加の設備が必要か検討しましょう。精密機械を扱う工場やデータセンターなど一瞬も電気を止められない施設では、大型UPS(無停電電源装置)で瞬時にバックアップし、その後を発電機で補う二重の対策をとっているところも多くあります。
特別養護老人ホームなどの施設では、照明、エレベーター、医療機器、空調設備が止まると、利用者の安全に直結します。いざというときに確実に動くよう、定期点検や負荷試験、計画的な更新も欠かせません。設置から20年以上たった発電機では、部品の供給が終わっている場合もあるため注意しましょう。
参照元:Blue talk(株式会社レント)(https://www.rent.co.jp/media/generator/commercial-generator/)
参照元:リスク対策.com(https://www.risktaisaku.com/articles/-/189)
参照元:株式会社ロジエイティブ(https://logiative.com/trivia/5137/)
戸建ての一般住宅
戸建て住宅で停電に備えるなら、まずは900VAクラスの発電機が目安です。照明や通信機器など、必要最低限のライフラインをまかなえます。冷蔵庫など幅広い家電を使いたい場合は、家庭のコンセントと同じように使える1.5kVA〜1.6kVAクラスを検討しましょう。ただし、電子レンジなど消費電力の大きい家電を使う場合は、起動電力も含めて出力が足りるか事前に確認が必要です。
戸建て住宅は、排気ガスや騒音の問題を避けられる屋外スペースを確保しやすいため、発電機を使いやすい環境です。ただし、室内や風通しの悪い車庫での使用は一酸化炭素中毒の危険があるため厳禁です。燃料の備蓄と、定期的な試運転などのメンテナンスも忘れないようにしましょう。
また、住宅街では夜間の騒音も気になります。発電機選びでは発電量だけでなく、騒音を抑えられるかどうかもチェックしておきましょう。
参照元:Honda公式サイト 用途別のおすすめ発電機:非常時の備えに(https://www.honda.co.jp/generator/use/emergency/)
参照元:石川企画合同会社(https://www.ishikawakikaku.com/column/generator-or-battery-for-power-outage/)
まとめ
停電は、建物に被害がなくても事業や生活を止めてしまいます。発電機は、燃料を補給しながら長時間電気をつくり続けられるため、企業のBCP対策にも家庭の防災にも欠かせない備えです。
実際の導入では、施設の規模や使う機器に合わせて、機種選定から設置、メンテナンスまで相談できる会社を選ぶことが大切です。下記で、停電対策の発電機を扱う会社を紹介していますので、自社やご家庭に合った発電機を探す際の参考にしてください。
いざというときに使える
災害用LPガス発電機
メーカー3選
補助金助成の条件である「連続稼働が72時間(3日間)以上」(※)のLPガス発電機を提供している、LPガス発電機メーカーを厳選。導入する施設ごとに、おすすめの会社をご紹介します。
参照元:LPガス災害バルク等申請ガイドブック(PDF)
(https://saigaibulk.net/pdf/2023_guidebook02.pdf)
- 医療・介護施設
に導入するなら - 大規模商業施設
に導入するなら - 宿泊施設
に導入するなら
に導入するなら

引用元:昭栄公式HP
http://www.shoei2000.co.jp/
時間が一番短い※2
に導入するなら

引用元:GENERAC公式HP
https://generac.jp/
一番大きい※2
に導入するなら

引用元:デンヨー公式HP
https://www.denyo.co.jp/
LPガス発電機
【選定条件】
2024年2月26日調査時点「LPガス発電機 メーカー」とGoogle検索して上位表示される企業のうち、72時間以上(3日間)の連続稼働が可能と公式HP上に表記し、
導入事例を掲載しているメーカーをピックアップ。 そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各社を選定しました。
■医療・介護施設に導入するなら=昭栄
調査した中で停電検知からの起動時間~起動から電力供給までの時間が一番短かったため※参照元:昭栄公式HP(https://www.shoei2000.co.jp/about.html)
■大規模商業施設に導入するなら=GENERAC
kVA(提供可能電力)が調査したなかで最長だったため
※参照元:GENERACHP(https://generac.jp/product/guardian-series/)
■宿泊施設に導入するなら=Denyo(騒音値が調査したなかで最も低かったため)
※参照元:Denyo公式HP【PDF】(https://www.denyo.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/legpower-1.pdf)
※1.2024年2月26日調査時点
※2.本メディアの調査企業21社の内。

