災害による停電リスク
災害による大規模停電は、介護施設など大型施設ににおいて生命に関わる重大なリスクとなります。本記事では、過去の停電被害の実態や施設に及ぼす影響、そして今すぐ実施すべきBCPに基づく停電対策について解説します。
近年増える災害と大型施設を襲う停電リスク
台風・豪雨で起きた大規模停電の実例と被害規模
近年、日本各地で台風や豪雨による大規模な停電被害が頻発しています。
令和元年に発生した台風15号では、千葉県を中心に最大約93万戸の大規模な停電が発生し、倒木や電柱の倒壊などの影響により、すべての停電が解消して復旧するまでに約2週間もの期間を要しました。
続く台風19号でも最大約52万戸が停電するなど、暴風雨によるインフラ設備への被害は広範囲に及び、復旧の長期化が施設運営に深刻な打撃を与えています。
参照元:経済産業省|令和元年に発生した災害の概要と対応[※PDF](https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/pdf/021_01_00.pdf)
地震による停電の特徴と復旧までにかかる日数
地震による停電は、広域かつ突発的に発生するのが特徴です。北海道胆振東部地震では、火力発電所の停止や送電線事故といった複合的な要因で需給バランスが崩壊し、道内全域が停電するブラックアウトが発生しました。
北海道電力は地震発生から約45時間で道内の約99%を復旧しましたが、被害の大きい地域では完全復旧まで約1か月を要しました。また、大阪北部地震での最大約17万戸の停電が発生したケースから見ても、震源に近い施設ほど設備被害が大きくなる傾向があります。大規模な地震では電力網の復旧に数日を要する場合もあるため、長期間の備えが不可欠となります。
引用元:内閣官房|大規模災害時における停電対策について[※PDF](https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/resilience/dai51/siryo2-1.pdf)
参照元:リスク管理Navi|大規模停電に強い社会を目指して―北海道胆振東部地震のブラックアウトをふりかえる―(https://www.newton-consulting.co.jp/bcmnavi/column/large_scale_blackout.html)
参照元:関西電力|大阪府で発生した地震の影響について(第三報:9時45分現在)|2018(https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2018/0618_3j.html)
医療・介護施設で停電が起きたときの深刻なリスク
医療機器停止による入居者・患者の生命リスク
医療・介護現場での停電は、直接的な生命の危機に直結します。東日本大震災において亡くなった1,042人のうち、少なくとも138人が停電による人工呼吸器の停止や薬の不足が原因であったと報告されています。通常の診療体制であれば救命できた可能性が高い「防ぎ得た死」であり、医療機器を稼働させるための電力が絶たれることは、患者にとって極めて重大なリスクとなります。
参照元:衆議院|災害拠点病院等における災害時の長期停電対策に関する質問主意書(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a198044.htm)
高齢者の熱中症・低体温症リスクと避難困難
冷暖房設備の停止による室温環境の悪化も深刻な問題です。2019年の台風15号では、千葉県内の155もの高齢者施設が停電に見舞われました。停電によりエアコンが停止したことで、熱中症を発症する患者が発生し、死者も出ています。高齢者は体温調節機能が低下しているため、気付かないうちに熱中症や低体温症に陥るリスクが高く、自力での避難が困難なことも被害を拡大させる要因です。
参照元:Jackery|介護施設は停電対策必須!停電時に起きることや使える非常用電源も解説(https://www.jackery.jp/blogs/disaster-prevention/nursing-homes-power-outage-countermeasure)
照明・トイレ・情報システム停止による施設運営の混乱
停電は施設のあらゆるインフラを停止させ、深刻な混乱を招きます。水を汲み上げるポンプが止まることでトイレが使えなくなり、衛生環境が悪化します。また、照明が消えて暗闇になれば高齢者の身動きが取れずパニックに陥るほか、情報システムやインターネットが遮断されることで利用者のデータ確認や外部との連絡も困難になります。
施設管理者が今すぐ検討すべき停電対策
BCP(事業継続計画)策定と2024年4月からの義務化
停電対策の根幹となるのが、BCP(事業継続計画)の策定です。災害時でも優先すべき重要業務を継続し、早期復旧を目指すための計画であり、災害拠点病院での策定義務化に続き、2024年4月からはすべての介護施設や事業者に対してもBCPの策定が義務化されました。
被害を最小限に抑え、非常時でも入居者の命と生活を守り抜くためには、平時から実効性のある計画を策定し、体制を構築しておく必要があります。
参照元:レバウェル介護|介護施設における非常災害時の対応とは?利用者さんを守るために必要なこと(https://job.kiracare.jp/note/article/1452/)
停電を想定した避難訓練・対応マニュアルの整備
計画を実際の行動に移すため、防災対策委員会を組織し、非常災害時の対応マニュアルを整備しましょう。
マニュアルには安全確保や役割分担、緊急連絡網を明確に記載します。さらに、作成したマニュアルをもとに年2回以上の定期的な避難訓練を実施し、停電時の暗闇や通信障害を想定したシミュレーションを重ねることが重要です。
非常用電源と72時間分の備蓄品の確保
行政などの外部支援が届くまで自力で業務を継続するため、最低でも発生から3日間(72時間)を乗り切る備蓄が求められます。飲料水は1人1日3リットルを3日分、これに加えて介護食や医療依存度の高い方向けの医薬品なども3日分を確保します。同時に、停電時に情報収集や最低限の医療機器を動かすための非常用電源や乾電池の備蓄も必須です。
参照元:首相官邸|災害が起きる前にできること(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html)
停電対策の中核となる「災害用発電機」とは?
災害用発電機の主な種類と特徴(LPガス・ディーゼル・ポータブル)
非常用電源には主に発電機とポータブル電源があります。ガスやガソリンを燃料とする発電機は出力が高く機器を長く動かせますが、一酸化炭素を排出するため屋外での使用に限られ、燃料の劣化管理やメンテナンスが不可欠です。
一方、ポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせは燃料管理が不要で室内でも比較的安全に使用でき、必要な場所に手軽に設置できるメリットがあります。
医療・介護施設に適した発電機の選び方(72時間連続稼働・自動起動)
施設に導入する電源を選ぶ際は、人命に関わる医療機器を安全に稼働できるかが重要です。災害拠点病院の要件でも求められるように、最低でも3日間(72時間)は連続して稼働できる燃料の備蓄や容量の確保が必要です。
また、停電時にどの機器を優先して動かすかを想定し、必要な出力を満たす機種を選ぶとともに、いざという時に確実に作動するよう定期的な点検体制を整えましょう。
まとめ
近年頻発する自然災害による停電リスクは、医療や介護施設において利用者の命を脅かす重大な課題です。
被害を防ぐためには、義務化されたBCPの策定に基づき、非常用電源や3日分の備蓄品の確保、実践的な避難訓練の実施が不可欠となります。
過去の教訓を参考に施設の停電対策を見直し、万全の備えを構築してください。
いざというときに使える
災害用LPガス発電機
メーカー3選
補助金助成の条件である「連続稼働が72時間(3日間)以上」(※)のLPガス発電機を提供している、LPガス発電機メーカーを厳選。導入する施設ごとに、おすすめの会社をご紹介します。
参照元:LPガス災害バルク等申請ガイドブック(PDF)
(https://saigaibulk.net/pdf/2023_guidebook02.pdf)
- 医療・介護施設
に導入するなら - 大規模商業施設
に導入するなら - 宿泊施設
に導入するなら
に導入するなら

引用元:昭栄公式HP
http://www.shoei2000.co.jp/
時間が一番短い※2
に導入するなら

引用元:GENERAC公式HP
https://generac.jp/
一番大きい※2
に導入するなら

引用元:デンヨー公式HP
https://www.denyo.co.jp/
LPガス発電機
【選定条件】
2024年2月26日調査時点「LPガス発電機 メーカー」とGoogle検索して上位表示される企業のうち、72時間以上(3日間)の連続稼働が可能と公式HP上に表記し、
導入事例を掲載しているメーカーをピックアップ。 そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各社を選定しました。
■医療・介護施設に導入するなら=昭栄
調査した中で停電検知からの起動時間~起動から電力供給までの時間が一番短かったため※参照元:昭栄公式HP(https://www.shoei2000.co.jp/about.html)
■大規模商業施設に導入するなら=GENERAC
kVA(提供可能電力)が調査したなかで最長だったため
※参照元:GENERACHP(https://generac.jp/product/guardian-series/)
■宿泊施設に導入するなら=Denyo(騒音値が調査したなかで最も低かったため)
※参照元:Denyo公式HP【PDF】(https://www.denyo.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/legpower-1.pdf)
※1.2024年2月26日調査時点
※2.本メディアの調査企業21社の内。

