発電機には大きく分けてLPガス発電機とディーゼル発電機があります。それぞれの特徴と違いについてまとめています。
LPガスは液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)の略称で、一般家庭で使用されているプロパンガスのことです。このLPガスを燃料に使用したものがLPガス発電機で、CO2の排出量が少なく、燃焼時の排出ガスも極めてクリーンだといわれています。
LPガスは簡単に液体にすることができ、液体にすると体積は1/250になるので、運搬も楽になります。そのため、離島や山間部などでも重要なエネルギー源として広く利用されています。
長期間保管していても劣化しないので、災害時などいざというときにも「劣化して使えなかった」ということもありません。
個別に供給できる「分散型エネルギー」であり、災害時にガスの供給が遮断された場合でも、個別に点検などができるので復旧が早いという特長があります。また調達もしやすく、大規模な災害時にも供給の途絶が起こりにくいです。
LPガス発電機の仕組みは以下の通りです。
LPガス発電機は災害時の非常用発電機として使用するほか、省エネにも役立ちます。LPガス発電機をピークカットに活用することで、電気料金を削減することができるのです。
ピークカットとは、 1日のうちでもっとも電気を使う時間帯である日中の電気使用量を抑えること。電気料金の基本使用料は、直近1年間の中でもっとも電気を使った時間帯の使用量によって決まります。つまり、もっとも多く電気を使う時間帯の使用量が多ければ基本使用料は高くなり、少なければ安くなるのです。
日中、もっとも電気を使用する時間帯にLPガス発電機を起動させることで使用する電力を少なくし、電気料金の削減につなげることが可能です。
ディーゼル発電機は、軽油を燃料として稼働する発電機です。常に変動する電力需要の負荷に対しても、安定して電力を出力できるため、ブレーカーも落ちにくく長期的な使用が可能です。
また発電機の中でもっとも普及しているため、機種も豊富で用途や必要な電力に応じたものの中から選ぶことができますし、LPガス発電機よりも比較的コストが安く済むことが多いようです。
ディーゼルエンジンは大きく2種類に分かれます。
ひとつめはトラック用エンジン。トラック用エンジンを流用するためコストは安く済みますが、エンジンは大きくないので出力の小さい発電機にしか対応できず、エンジンの回転力(トルク)が乏しいと感じるかもしれません。
もうひとつは船舶用エンジンで、こちらはトルクを重視しているので一定の回転数を長時間持続させることができます。トラック用エンジンと比べて価格はかなり高くなりますが、その分タフで信頼できるエンジンです。
ディーゼル発電機は比較的扱いやすく、始動時間が短い、始動特性がいい、熱効率が高いため燃料消費率が小さいという特長があります。その一方で、LPガス発電機に比べて振動や騒音が大きいので周囲に配慮する必要があります。
ディーゼル発電機の仕組みはLPガス発電機と同じく、エンジンを回してそれを動力にしてオルタネータを回し、電気を作ります。LPガス発電機と違うのは燃料がLPガスではなく軽油という点です。
LPガス発電機同様、非常用発電機としてだけでなく、ピークカットに活用して電気料金を削減したり、省エネに役立てたりすることもできます。
LPガス発電機 | ディーゼル発電機 | |
---|---|---|
燃料の劣化 | 劣化しない | 酸化によって劣化が起こる |
燃料の移動 | ガスボンベで移動が可能 | 移動できるタンクに入れ替えが必要 |
災害時の燃料供給 | 復旧が早く調達しやすい | 災害時の燃料調達は困難で、復旧に時間がかかる |
振動・騒音 | ディーゼルエンジンよりも少ない | 振動や騒音が大きくなる場合がある |
コスト | ディーゼルエンジンよりも割高 | LPガスよりも安い |
バリエーション | 少ない | 豊富 |
LPガス発電機 | ディーゼル発電機 | |
---|---|---|
排気 | 無色透明 | 黒煙 |
ノックス | 少ない | 多い |
炭化水素 | 少ない | 多い |
粒子状汚染物質 | 少ない | 多い |
硫黄酸化物 | 発生しない | 多い |
ノックスとは、一酸化窒素や二酸化窒素など窒素酸化物の総称で、大気汚染の原因になるといわれています。炭化水素は光化学スモッグの原因であり、粒子状汚染物質は炭素や炭化水素類、石綿などのブレーキ材、アスファルトの粉じんなどがこれに当たります。硫黄酸化物も大気汚染の原因になるといわれているもののひとつです。
LPガス発電とディーゼル発電機の排気について比較してみると、これだけの違いが表れます。利便性だけでなく、人や地球への優しさを考慮するのであれば、LPガス発電機がおすすめです。