保安用発電機とは?
近年、台風や地震などの自然災害による大規模な停電リスクが高まっています。企業や施設において、万が一の事態に備えるBCP(事業継続計画)の重要性が叫ばれる中、注目を集めているのが「発電機」の導入です。
しかし、ひとくちに発電機と言っても種類はさまざまで、「自社にはどの発電機が必要なのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、企業の業務継続の要となる「保安用発電機」に焦点を当て、非常用・防災用発電機との違いや、施設に合わせた選び方を詳しく解説します。
そもそも保安用発電機ってなに?
保安用発電機とは、停電時において「施設内の業務を継続すること」や「資産を守ること」を目的として、企業や施設が自主的に設置する発電設備のことです。
法律による設置義務はありませんが、電力が絶たれると致命的な損害を被る可能性がある設備(サーバー、冷蔵・冷凍庫、生産ライン、医療機器、一般的な空調や照明など)へ電力を供給するために導入されます。稼働時間や給電先を自社のニーズに合わせて自由に設計できるのが大きな特徴です。
非常用発電機・防災用発電機とはどう違うの?
発電機について調べると、「非常用発電機」や「防災用発電機」という言葉もよく目にすると思います。これらは混同されがちですが、定義や役割が明確に異なります。
非常用発電機とは?
非常用発電機とは、停電が発生した際に施設の電力を自立的に確保するための自家発電設備の総称です。
つまり、本記事で解説している「保安用発電機」も、後述する「防災用発電機」も、どちらもこの「非常用発電機」の一種に分類されます。
防災用発電機とは?
防災用発電機とは、消防法や建築基準法によって「設置が義務付けられている」発電設備のことです。
火災や地震が発生した際、人命を救助し安全に避難させることを目的としているため、給電先は以下のような「防災設備」に限定されており、法令によって厳しい基準(稼働時間や点検義務など)が定められています。
- 屋内消火栓・スプリンクラー設備
- 排煙設備
- 非常用エレベーター
- 非常用照明・誘導灯
また、法令により連続運転時間(30分〜120分以上など)を満たす燃料の確保が求められており、定期的な点検・試運転も義務となっています。
施設ごとの用途に合わせた保安用発電機の選び方
保安用発電機は、導入する施設の事業内容や規模によって適切なモデルが異なります。ここでは、特に導入が推奨される施設と、メリットについて解説します。
保安用発電機の設置が特に重要な施設とは
- 医療機関・介護施設:医療機器や医薬品の冷蔵保存、電子カルテシステムの維持に不可欠です。人命に直結するため、長時間の連続稼働ができる大容量の発電機が求められます。
- データセンター・通信設備:サーバーのダウンは甚大なデータ損失や通信障害を引き起こします。無停電電源装置(UPS)と連携し、サーバー本体や冷却用の空調設備を止めないための確実な電力供給が必要です。
- 食品工場・スーパーマーケット:冷蔵庫や冷凍庫が停止すると、大量の食品ロス(在庫の廃棄)が発生します。これを防ぐため、冷却設備を最低限稼働させられる出力の発電機が必要です。
- 一般オフィス・製造工場:社員の安全確保(空調・照明・通信)や、生産ラインの停止による損害を防ぐため、BCP対策として重要視されています。
保安用発電機を導入するメリット
保安用発電機を導入する最大のメリットは、「事業継続性の確保(BCP対策)」です。
長時間の停電が発生しても、自社にとってクリティカルな業務を継続できるため、休業による売上減少や、データ消失・在庫廃棄といった直接的な金銭的ダメージを最小限に抑えることができます。
また、「災害時でも機能が停止しない企業」として、取引先や顧客からの社会的信用が向上する点も、企業にとって大きなプラスとなります。
BCP対策におすすめの発電機の種類
ディーゼル発電機
ディーゼル発電機は、軽油を燃料としてディーゼルエンジンを稼働させる、古くから広く普及しているタイプです。電力需要の変動にも安定して対応でき、長時間の運転が可能で、ブレーカーが落ちにくいという特長があります。機種の種類が豊富で本体価格も比較的手頃なため、大量の電力を必要とする施設や長期稼働に適しています。一方で、振動や騒音、煙の発生がデメリットとして挙げられます。また軽油の保管期限はおよそ6ヶ月とされ、期限を超過すると酸化が進み不完全燃焼の原因になるため、定期的な燃料の確認と入れ替えが必要です。
ガソリンエンジン発電機
ガソリンエンジン発電機は、ディーゼル発電機に比べてサイズが小さく軽量で、設置や持ち運びが容易な点が特徴です。ガソリンは入手しやすく取り扱いも簡単なので、BCP対策として用意する場合にも手軽といえます。家庭用から業務用まで価格帯が広く、用途に応じて選びやすいのも魅力です。ただしガソリンは揮発性が高く長期保存には適さないため、こまめな入れ替えなどの管理が必要です。ディーゼルに比べ燃費が悪く長時間の連続使用には不向きなので、一時的な電力供給や短時間の緊急使用を目的とする場合におすすめです。
定置式LPガス発電機
定置式LPガス発電機は、LPガスを燃料とし一定の場所に据え付けて使用するタイプです。災害時でも安定して発電でき、ガスの供給が継続される限り長期間にわたり稼働させることができます。最大の強みは燃料の保存性で、LPガスは気体の状態でボンベに密閉され空気に触れないため、長期間にわたって品質を保つことができます。さらにディーゼル発電機に比べて静音性が高く、病院や高齢者施設など静かな環境にも適しています。多くの機種が自動起動機能を備え、停電時に即座に稼働します。ただし初期設置には工事が必要で、設置場所や費用を事前に確認する必要があります。
可搬式LPガス発電機
可搬式LPガス発電機は、ガスボンベ(シリンダー容器)やガスを貯蔵する災害バルク貯槽から燃料を供給できる、持ち運び可能なタイプです。主なメリット・デメリットは定置式と同様ですが、可搬式のほうが低コストで導入でき、小回りが利くのが魅力です。必要な場所へ移動して使えるため、小規模施設や一時的な電源確保に向いています。LPガスは劣化しにくく長期保管できる点も大きな利点です。一方で注意点として、稼働時に一酸化炭素を含む排気ガスが生じるため屋内では使用できず、定置式と比較すると発電量が少ないため、動かす機器をあらかじめ絞っておく必要があります。
太陽光発電機
太陽光発電機は、太陽光をエネルギー源とするため燃料が不要で環境に優しい点が大きな特徴です。燃料の備蓄や補給、劣化を気にする必要がなく、ランニングコストを抑えられます。ただし電力供給が天候に依存するというデメリットがあり、大量の電力供給には向きません。そのため単体ではなく蓄電池と組み合わせて運用するのが一般的です。近年ではLPガス発電機・太陽光発電・蓄電池を併用した非常用発電設備にも注目が集まっており、システムごとの長所と短所を互いにカバーすることで、長期間にわたる電力の安定供給が期待できます。
まとめ
保安用発電機は、消防法などで義務付けられている「防災用発電機」とは異なり、企業が自社の業務継続(BCP)や資産保全のために自主的に導入するものです。
法的義務がないからこそ、自社の「どの設備を」「どのくらいの時間」動かしたいのかを明確にし、要件に合わせた発電機(容量や燃料の種類など)を選ぶことが重要です。いつ起こるかわからない災害に備え、被害を最小限に抑えるためにも、この機会に保安用発電機の導入や見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
いざというときに使える
災害用LPガス発電機
メーカー3選
補助金助成の条件である「連続稼働が72時間(3日間)以上」(※)のLPガス発電機を提供している、LPガス発電機メーカーを厳選。導入する施設ごとに、おすすめの会社をご紹介します。
参照元:LPガス災害バルク等申請ガイドブック(PDF)
(https://saigaibulk.net/pdf/2023_guidebook02.pdf)
- 医療・介護施設
に導入するなら - 大規模商業施設
に導入するなら - 宿泊施設
に導入するなら
に導入するなら

引用元:昭栄公式HP
http://www.shoei2000.co.jp/
時間が一番短い※2
に導入するなら

引用元:GENERAC公式HP
https://generac.jp/
一番大きい※2
に導入するなら

引用元:デンヨー公式HP
https://www.denyo.co.jp/
LPガス発電機
【選定条件】
2024年2月26日調査時点「LPガス発電機 メーカー」とGoogle検索して上位表示される企業のうち、72時間以上(3日間)の連続稼働が可能と公式HP上に表記し、
導入事例を掲載しているメーカーをピックアップ。 そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各社を選定しました。
■医療・介護施設に導入するなら=昭栄
調査した中で停電検知からの起動時間~起動から電力供給までの時間が一番短かったため※参照元:昭栄公式HP(https://www.shoei2000.co.jp/about.html)
■大規模商業施設に導入するなら=GENERAC
kVA(提供可能電力)が調査したなかで最長だったため
※参照元:GENERACHP(https://generac.jp/product/guardian-series/)
■宿泊施設に導入するなら=Denyo(騒音値が調査したなかで最も低かったため)
※参照元:Denyo公式HP【PDF】(https://www.denyo.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/legpower-1.pdf)
※1.2024年2月26日調査時点
※2.本メディアの調査企業21社の内。

