近年、病院でも災害用発電機が注目されています。
特に災害拠点病院については下記の内容が要件に定められているため、検討する病院が増えることが予想されます。
そこで、病院でどのように災害用発電機が導入されているのか事例を紹介します。
2005年に開院、外科、内科の治療と人工透析治療を主に行っている福岡県糸島市のクリニック。自然災害などによりライフラインが寸断されてエネルギー供給が途絶えてしまうと重大な支障をきたしてしまうため、いつ起こるのか予測ができない災害などの緊急時に備える必要があることから、国の補助制度を活用してLPバルク貯蔵、非常用発電機、GHP、炊き出し設備を導入。
停電などによって人工透析ができなくなると患者の生命にも関わるが、これらの設備を導入したことでいざというときの安心感につながっている。
地域の医療・福祉・高齢者施設を担う総合医療施設として2020年に開院した総合医療病院。前身の病院は地域への貢献を基本理念とし、災害時には地域住民への施設の開放などを行っていたが、数年前に市と協定を締結したことをきっかけに、災害発生時に市の要請に基づいて地域住民を受け入れる施設に位置付けられた。
前身の病院を建て替えるにあたり、LPガスは通常時のみならず災害時の供給にも対応できると判断して、LPガス設備を導入。
万一に備え、もともと取り入れていた非常用自家発電機に加えてLPガス設備を導入したことで、災害への対応がさらに強固なものとなり、緊急時の備蓄としての安心感が増した。
静岡県磐田市にある内科・人工透析・眼科専門のクリニック。2018年、暴風による停電のため、復旧までの間、透析病院としての機能が停止してしまったこと、また災害時には熱中症や寒さへの対策が必要であることを受け、これまでのEHPよりも消費電力が大幅に少ないGHPへ変更。また、投光器は災害時に玄関先に用いることで、地域住民に一時避難場所であることを示せるとして導入。さらにバルク貯槽や非常用LPガス発電機も採用。
非常用LPガス発電機やGHPなどの導入により、エアコンの効きが以前よりも良くなったほか、スタッフの防災意識が高まり、院内の防災委員会の開催数が増加したり防災訓練が積極的に行われるようになった。
患者からは「透析治療が安心して受けられる」という声が聞かれ、冬場の暖房の立ち上がりも短縮されたと好評。光熱費も前年比15%削減された。